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恋愛には、様々なストーリーがあります。
色んな相関性がある中で出会いと別れを重ね、互いに愛しあえる人を見つけ、互いの幸せを模索していく。
そうして生涯の伴侶を見つけ、人生を共にするという人もたくさんいるのではないでしょうか。
互いに愛しあえる人と出会うということは、本当に奇跡みたいなもの。
しかしそんな奇跡に巡り合い、互いに愛し合っていても、別れを選ぶ決断する人も、世の中にはいるのです。
「二度と私の前に現れないで」
25歳の女性が、28歳の男性に言い放った言葉。
この一言で、この二人の恋人の関係は終わってしまいます。
彼女が一方的に彼に突き出した突然の別れ。
しかし、この二人はつい1年半前まで、近い将来の結婚を約束していた仲だったのでした。
二人が出会ったのは、5年前。
専門学生だった女性と、医大生だった男性。
共通の友達の誕生日会で出会い、すぐに互いに惹かれ合います。
そこから恋人の関係になるまで、そう時間はかかりませんでした。
付き合い始めてから、喧嘩も一切しないほどの大の仲良し。
それだけでなく、彼女が専門学校を卒業した後に就職した地元の医療機関で、彼のお母さんが助産師をしているという巡り合わせもあり、すぐに家族ぐるみで付き合いをする様になりました。
何をするにも、彼と彼女は一緒。
周囲の友人からも羨ましがられるほどの仲良しカップルで、彼は彼女を心から愛し、彼女も彼を心から愛していたのです。
「研修医が終わったら、結婚しよう」
「たくさんの子供と共に、家族を築きたい」
付き合って2年ほど経った時に彼の口から伝えられたこの言葉に、彼女は大粒の涙を流しました。
互いを誰よりも大切にし、愛し合う二人。
誰もが明るい未来を信じていましたが、この言葉の1年後、大きく人生が変わる出来事が起きてしまうのです。
<2ページ目>
身体の異変を彼女が自覚し、彼のお母さんの助言もあり、病院で検査を受けます。
その結果、彼女にとってあまりに残酷な診断結果を医師から告げられるのでした。
医師から告げられた診断結果は、「子宮頸がん」。
それも相当重度なIa2期という状態であり、準広汎性子宮全摘術を勧められたのです。
医師の言葉に、目の前が真っ暗になる女性。
絶望のあまり、強い吐き気に襲われる事も。
ただ、彼には心配かけさせたくないと思い、その診断結果を告げる事はありませんでした。
その後2つの病院にかかったものの、医師の診断は変わらず。
Ia2期の為、準広汎性子宮全摘術という手段が望ましいと告げられるのです。
20代の女性に対して、あまりに酷すぎる状況。
死をも考えてしまうくらい、彼女には絶望が襲いかかっていました。
癌の事を知らない彼は、なんとか彼女を支えようとします。
半年前とは全く違う、心を塞ぎこんだ彼女に対して、嫌な顔一つせず心配し、元気付けようと。
それでも、やはり彼女は彼に癌の事実を伝える事ができませんでした。
「言わなければいけない事はわかっている」
「でも、この絶望を、彼に味わせたくない」
何が正解かなんて、わかりません。
答えなんてない様なもの。
でも、彼女なりに、どうするべきか、一生懸命考えました。
彼女の家族ともたくさん話し、どうするべきかを彼女なりに決めました。
女性にとって大切な子宮がなくなる事。
それはもちろん、彼女にとっては辛すぎる出来事です。
しかし準広汎性子宮全摘術の事を告げられてから、彼女の想いはたった二つだけでした。
「生きる」こと、そして「彼を悲しませない」こと。
遂に、彼に癌の事を告げる事なく、20代前半という年齢で、準広汎性子宮全摘術を決断するのです。
<3ページ目>
勤めていた医療機関を、事前に体調不良を理由に自主退社。
本当はその旨を伝えれば退社をする必要もありませんが、彼のお母さんに癌の事が伝わってしまうと思い、正式な理由を伝える事なく医療機関を辞めました。
彼にも、「体調が悪くて、しばらく会えない」と伝えるだけでした。
彼は無理に詮索する事もなく、ただしっかりと愛を持って、毎日こまめに心配を伝えながらたわいもない連絡を届けます。
そして手術は無事終了。
子供が産めなくなってしまった事実を受け入れることができず、心にポッカリと穴が開いてしまった彼女。
何度もその事を考えては、止まらない程の涙を流すのでした。
幸い、術後の経過も良く、彼女の命に関わる出来事はその後起きませんでした。
退院後は、彼女の体調が良い時は彼と会いました。
前より会う回数は減ってしまっても、彼は以前と変わらず彼女を誰よりも愛していました。
そしてもちろん彼女も、誰よりも彼のことを愛していました。
しかし、心のどこかで、彼女は一つの決断をしていたのです。
「彼を悲しませない」ということ。
それは即ち、癌や手術の事を彼に気付かれずに、「彼女が彼の前からいなくなる」ことだということを。
そして、徐々に徐々に、彼女は彼を遠ざける様になったのでした。
彼は、そんな彼女に対して、挫けずに何度も何度も近づこうとします。
たくさん笑わせたり、気遣いをしてくれたり、想いを伝えてくれたり・・・
その全てが彼女は嬉しくて、でもその嬉しい気持ちを押し殺して、頑なに彼を遠ざけ続けました。
たった一つ、「彼にあの絶望を感じさせない」為に。
そして遂に、その日は訪れてしまいます。
彼を遠ざけようとする彼女に対して、彼がとうとう彼女に怒りを伝えます。
「もう好きじゃないなら、正直にそう言ってくれ」
彼の口からそう言葉が出た次の瞬間、
「もう好きじゃないから」
「お願いだから、もう二度と私の前に現れないで」
と、彼女は彼に告げるのです。
その日を最後に、二人は二度と会う事はありませんでした。
彼は、心から、彼女を愛していました。
だからこそ、理由もわからずどんどん自分を遠ざける彼女に、最後は思いの丈をぶつけてしまったのでしょう。
その後、彼から彼女には一度も連絡はきませんでした。
もしかしたら、少し憎しみにも似た感情を彼は抱いてしまったかもしれません。
もちろん、全てをあの時打ち明けて、彼と一緒にこの苦しみを乗り越えるという選択肢もありました。
彼女自身も、自分の行動が本当に正しかったのか、別れた後もずっと自問を繰り返しました。
間違っていたとも思います。
でもどうしても、彼女は彼に、彼女に襲い掛かった絶望を感じて欲しくなかったのです。
もう二度と、会う事はないと彼女は言います。
でも、もし、奇跡が起きて、もしまた巡り会える事ができたら・・・
その時は、許し、また愛してくれるかな?
そんな事を、彼女は今でも思うそうです。
そんな彼女の心を映している様な、一つの曲があります。
HYさんの「愛しあって許しあって」という曲です。
本気で互いに愛し合っていても、別れを選ぶ人もいる。
そう考えると、今、何気なく一緒に過ごしている恋人や友人との繋がりというのも、本当に奇跡みたいなものなんだと思います。
そんな奇跡を大切に思いながら、毎日を過ごしていきたいですね。
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