僕のおじいちゃんは、某有名大学出身でとても頭も賢く、
運動神経も抜群で、小さい頃はよく勉強やスポーツなど、
色々とおじいちゃんに教えてもらっていた。
そんなおじいちゃんが大好きで尊敬していたし、
誇りでもあった。
しかし、今はおじいちゃんに勉強を教えてもらっていない。
正確に言えば、教えてもらう事ができなくなってしまった。
今では、僕の事も、実の娘の僕の母親も分からなくなって
しまって、いつも僕たちに、
「初めまして」とあいさつをしてくる。
唯一、奥さんである僕のおばあちゃんの事は分かっている
みたいだったけど、
ここ最近になって、おばあちゃんの事も分からなくなって
しまった。
しかし、
おばあちゃんは毎日笑顔で、懸命におじいちゃんの世話
をしていた。
今年の年初め、
家族みんなで集まって家でごはんを食べようとなり、
久々に家族全員で集まることになった。
家族の誰一人分からなくなってしまって、とても緊張を
しているおじいちゃんに、
おばあちゃんが笑顔で家族のみんなを紹介していった。
すると、
いきなり、おじいちゃんは真剣な顔をして、おばあちゃんに
向かって話し出した。
「あなたは、本当に素晴らしいお方だ。
いつも素敵な笑顔で、僕に笑いかけてくる・・・
あなたが笑ってくれたら、僕はとても 幸せな気持ちになれます。
もし、独り身なら、ぼ、僕と結婚してくれませんか?」
家族全員の前でのプロポーズだった。
2回目のプロポーズに、涙をぽろぽろこぼしながら、
おばあちゃんは笑顔で、「はい」と答えた。